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窓の断熱性能とは、窓ガラスの性能+サッシの性能。


自由設計住宅
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断熱性を考えるなら、”窓”は最小限に。


冬場の熱の流出は50%以上が窓から。夏場の熱の流入は74%が窓からと言われています。

つまり、断熱性の観点からは、熱の大きな出入口となる“窓”は無ければ無いほうがいいのですが、採光や換気の必要性を考えると、まったく無しとはいきません。

窓は健康的な住環境を形成するために必要不可欠なものですが、不必要には窓を増やさない、大きくしない。これが、断熱性を高めるうえで重要になります。

窓の断熱性

熱の大きな出入口になる”窓”の性能は、家全体の断熱性能に直結しますので、窓の仕様はとても大切です。


窓の性能=窓ガラスの性能+サッシの性能

窓の断熱性能とは、窓ガラスの性能だけで決まるのではありません! なぜなら、フレームであるサッシ部からも、室内と屋外とで熱の出入りがあるからです。 ガラスだけ断熱性が高くても、サッシから熱が自由に逃げてしまうのでは意味がありません。 窓ガラスもサッシも、どちらも熱を伝えにくいものを選ぶ必要があります。

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複層ガラス(ペアガラス)は、中空層で断熱性能アップ!


窓の断熱性能

単板ガラスよりはペアガラス、ペアガラスよりはトリプルガラスが性能が高くなります。 以前は単板ガラスがほとんどでしたが、現在ではペアガラスが住宅建築での主流となっています。(新築一戸建て(2019年)戸数別の複層ガラスの普及率:98.9%)

現在、新築住宅のほとんどで採用される複層ガラス(ペアガラス)は、2枚のガラスで空気の層をはさむ構造(=中空層)になっています。 複層ガラスの持つ断熱性能とは、ガラス素材によるものというより、この中空層に封入されている気体層により発揮されるものとなります。 そのため、同じ複層ガラス製品でもガラスの厚みのある方が断熱性が低くなったりします。(ガラスが厚くなったぶん、中空層が薄くなるため)

アルゴンガスでさらに断熱性アップ!

中空層に封入されるのは一般的には空気ですが、高性能ガラスでは、アルゴンガスやクリプトンガスが採用されています。(YOKAIEでは、アルゴンガスを採用しております。)

不活性ガス「アルゴンガス」とは

地表付近の大気成分の約0.93%を占めるアルゴンは、無色無臭で人体にも無害であり、他の物質と反応を起こさない化学的に安定したガス(不活性ガス)です。

電球や蛍光灯の封入ガスとして多く利用されていますが、実は優れた断熱性能を持ったガスでもあります。

空気よりも熱伝導率が低く、比重は空気よりも重い気体となります。 熱伝導率が低ければ断熱性能が高いのはもちろんですが、比重が重いということは、熱の移動をおこす対流が生じにくいということでもあります。

熱伝導率(気体はいずれも温度0度の場合)

素材名 熱伝導率 W/(m2k)
空気 0.024
アルゴンガス 0.016
木材 0.1~0.2
ガラス 1.0
アルミニウム 236


Low-E膜と呼ばれる薄い透明な金属膜が、放射熱を伝わりづらくします。


複層窓ガラスの中には、Low-E膜という金属膜が付加されたタイプがあり、Low-E膜が付加されていないものと比べて優れた断熱性能を発揮します。

Low-Eとは、「Low Emissivity」の略で、低放射を意味します。 すなわち、放射熱(輻射熱)を抑える役割をするもので、屋外からの熱の流入や、室内の熱の屋外への流出をカットし、 冷暖房効率を向上させてくれる優れた仕様です。

※ヨカイエではすべての商品において、標準仕様でLow-E複層ガラス(アルゴンガス入り)が採用されています。

窓の断熱性
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Low-E複層窓ガラスには「遮熱」と「断熱」、2種類があります。

遮熱タイプ

Low-E膜が屋外側に塗布されているものを遮熱タイプといいます。 太陽光は中空層の手前のLow-E膜で大幅に減衰され、中空層でさらに弱められるため、輻射熱が大幅にカットされます。 この遮熱タイプが基本となります。

遮熱タイプの窓ガラス

断熱タイプ

対して、断熱タイプと呼ばれるものは、Low-E膜が中空層よりも室内側にあるものです。 太陽光はガラスをそのまま透過し、中空層でやや弱められるものの、Low-E膜で減衰しきれずに室内に到達します。 冬場に太陽光による輻射熱が欲しい南側の窓には、断熱タイプをおすすめしています。 Low-E膜が室内側にあるため、室内からの輻射熱ものがさず、暖かい窓になります。

遮熱タイプの窓ガラス

放射熱(輻射熱)とは

物体は温度が高くなると、電磁波の形で熱を伝えます。この現象を輻射といい、このとき伝わる熱を輻射熱(=放射熱)と呼びます。

電磁波は気体や空間を透過していきますが、透過できない物体に衝突すると、その物体が熱を吸収します。 約1億5000万kmも離れている太陽光によって地球が暖められているのも、この輻射熱の仕組みによるものです。

身近な例では、窓際の床が温かいのは、太陽光線が窓ガラスを透過したのち、フローリングにぶつかって、輻射熱が発生しているからです。 電気コタツの熱は、赤外線発生装置により発生した電磁波によって、コタツ内で輻射熱を発生させて暖かくしています。


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「サッシ(外枠)の性能」性能が低いと結露の原因にも…!

日本国内で流通しているサッシには、主に以下のものがあります。

① アルミサッシ(国内シェア10%)
② 樹脂サッシ(国内シェア22.3%)
③ 金属樹脂複合サッシ(国内シェア67.5%)
④ その他(国内シェア0.1%、木製サッシ・スチールサッシ)

アルミサッシは丈夫で軽く、耐候性が高いという優れた特徴があるため、木造住宅ではアルミサッシがかつては主流でした。(シェアは2021年木造新築住宅によるもの)

そのなかでも、省エネ住宅化が促進されている昨今では、アルミサッシは熱伝導率が高いため断熱性能が悪く、屋外の熱を室内にそのまま伝えてしまう特徴から、 現在の木造住宅でのサッシの主流としては、省エネ性能の高いアルミ樹脂複合サッシか、樹脂サッシとなっています。

熱伝導率が高いサッシだと、断熱性が悪くなるだけでなく、冬場に結露が多く見られるようになります。 結露による水滴を毎日拭き取るのは面倒なもの。結露を放置するとカビが発生し、喘息やアレルギーの原因となります。

金属樹脂複合サッシについて

金属樹脂複合サッシはハイブリッドサッシとも言われるもので、窓のフレームのうち、耐候性の求められる屋外がアルミニウム、 室内は樹脂(PVC・ポリ塩化ビニル)という複合構造となっているものです。

すべて樹脂製のオール樹脂サッシよりは断熱性能は落ちますが、高い性能を持っています。

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樹脂サッシについて

窓のフレームがすべて樹脂(PVC・ポリ塩化ビニル)で出来ているものを、樹脂サッシといい、環境先進国であるドイツで誕生しました。 熱を伝えにくい樹脂を用いることで、サッシに高い断熱性を持たせることができます。

世界的に見れば樹脂サッシが主流であり、アメリカで65%、韓国ではじつに80%が樹脂サッシです。 日本はまだ普及率22.3%(一般社団法人日本サッシ協会「窓の材質別構成比」2021年版)にとどまっていますが、地域差があり、北海道では99.0%が樹脂サッシとなっています。

断熱性が高いということは、それだけ結露も起こりにくいということ。 欧米では結露が発生するということは住宅設計上の瑕疵と見なされることもあり、結露の起こりにくい樹脂サッシが普及していると思われます。

樹脂サッシのデメリットとしては、アルミサッシと比べて高価であることと、重量があるためアルミサッシよりは開け閉めに若干手応えを感じるかもしれません。

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樹脂サッシの耐久性は大丈夫なの?

樹脂というと、紫外線でボロボロになるのでは…?と思う方もいるようですが、 そういう場合はたいていポリエチレン樹脂のプラスチックバケツなどを想像するようです。

しかし、樹脂サッシに採用されているポリ塩化ビニルは紫外線に強く、空気中の酸素による酸化反応に対する抵抗力が極めて高い素材であり、 長年にわたってその性能を保持することができると言われています。 ポリ塩化ビニルは水道パイプにも使われる丈夫な素材であり、耐用年数は50年以上と言われています。

35年土中で使用されてきた下水管が、新管と同じ曲げ強さ・引張降伏強さ、偏平強さ等を保っていたというデータもあります (塩化ビニル管・継手協会「敷設後 35 年経過した下水道用硬質塩化ビニル管の評価について」)

また、当社採用のYKK-APのAPWシリーズは、紫外線を透過しやすいアクリルを表面の着色層に採用。 紫外線による変色が起こりづらい構造となっています。 サンシャインウェザーメーター促進試験では、10年相当の紫外線を照射した結果、色の劣化はほとんど見られませんでした。 (試験ではUV指数11の約258倍の紫外線を4000時間照射しています。)


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結露のメカニズムについて

冬場の朝に、窓ガラスやサッシが結露して、たくさん水滴がついていることがあります。 この結露の原因は、室内の暖かな空気が窓付近で急速に冷やされ、空気が水分を含みきれなくなることで起こります。

温度が高ければ高いほど、空気に含むことのできる水分量(=飽和水蒸気量)が多いのですが、 逆に温度が低くなれば空気に含むことのできる水分量が減り、その結果、空気に含みきれなくなった水分量が結露として現れるのです。

飽和水蒸気量

たとえば温度30度のときの飽和水蒸気量は30.38mmHgですが、温度0度では飽和水蒸気量は4.85 mmHgとなります。

ある温度の空気に含むことのできる最大の水蒸気量を、飽和水蒸気量といいます。 飽和水蒸気量をぴったり含んだ空気は、相対湿度100%ということになります。

コールドドラフト現象について

断熱性の低い窓ガラスの場合、コールドドラフト現象も起きやすくなります。

コールドドラフトとは、英語でいうと「すきま風」。 暖房器具で暖められた空気が、窓ガラスによって冷やされて、冷たい空気が床面に流れ込んでくる現象です。

コールドドラフト現象が発生するのは、窓ガラスの断熱性が低いことが原因となります。 空気は暖かいほど軽くなるため、窓ガラスで冷やされた空気は足元を冷やしてくるのです。

こうなると、いくら暖房をつけても足元だけずっと寒く、冬場はスリッパを着用しなければ床を歩くことなどできないでしょう。 ベッドではなく、敷布団を使っているのであれば、寝ている間はずっと寒い思いをしなければなりません。

断熱性の高い窓ガラスであれば、コールドドラフト現象は起きづらくなり、室温は高低差による差があまり生じなくなります。


家づくりをするなら、窓にこだわりましょう!

YOKAIEの住宅商品では、OREGA-COREにYKK-APの樹脂サッシ「APW330」、OREGA-PINOに金属樹脂サッシ「エピソードⅡNEO」が採用されています。

住宅をご検討中の方であれば、家づくり勉強会で講師によりさらに詳しくご説明したり、 高性能窓を体感できるショールームにご案内することもできます。

家づくりの際には、ぜひ窓にもこだわってみてはいかがでしょうか。